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資源も無い小さな島国が、こうして経済大国と言われるようになったのは、日本の技術と工業力によるところが大きいと思うのですが、
こと自動車レースの世界では少し事情が異なり、事実上の日本の自動車レースの夜明けである1963年の第一回日本グランプリ以来40余年、
日本の自動車レースは、ドライバーの戦い/育成を中心として展開されてきました。
「いつか、天才的なF1ドライバーが出現すれば日本の自動車レースが変わる」という悲願のもとに、いろいろな仕掛けが考えられ数多くの
若者たちが育てられてきましたが、一方、なぜか、自動車レースの本質的な要素である技術の戦いは軽視され、
そのほとんどが海外の既存技術に丸投げされることが常態化していました。
しかし残念ながら、40余年待ち続けてもセナもシューマッハも出現せず、未だ、レース結果は五大新聞にもほとんど掲載されず、
テレビの中継も無く、街中でドライバーがサイン攻めに会うこともないマイナーな状況が続いています。
日本の自動車レースは、レース内容、予算規模、レース数、サーキットの数など、あらゆる面で他国と比較しても勝るとも劣らない
環境を持っていますから、本来は、もっとメジャーなイベントになってしかるべきですが、こうして長らく続けてきても、いつまで
経ってもマイナーなままであることには明確な理由があります。
何が間違っていたのかと言うと、日本では、自動車レースはドライバーのテクニックを競うものと解釈されていますが、本当の自動車
レースは自動車開発技術の戦いであり、ファンはその技術の結晶であるレーシング・マシンにより多くの魅力を感じるものだからです。
F1とルマンが自動車レースの頂点であることに異論は無いと思いますが、これらのレースは開発技術の戦いです。日本のレースでも、
ドライバーの腕比べのフォーミュラ・ニッポンは閑古鳥が鳴いていますが、自動車が主役のGTレースは盛況です。
また実利面においても、例え、日本人F1ドライバーが誕生したとしても、過去の全てのドライバーがそうであったように、大枚の
お土産を持たせて関連チームに押しつけるのが精いっぱいで、セナやシューマッハのように稼いでくれる訳ではないし、現状では、
もし10人の日本人F1ドライバーが出現したとしたら、10人×100億円=1000億円の大金が海外に流出するだけです。
その上、そのドライバーが日本に帰ってきて若手ドライバーを育てるルーティンが繰り返されるだけで、そこに浪費はあっても
何の生産性もありません。
一方、先進の自動車開発技術の戦いである自動車レースにおいては、カーボン・コンポジット開発技術と空力開発が技術の中核となっており、
これらの先進技術は、そのまま、現在の自動車が抱える環境問題に直結した技術であり、飛行機がそうであるように、これからの自動車の
軽量化にはカーボン・コンポジットの開発技術が欠かせませんし、高速道路での数パーセントオーダーの燃費改善には空力開発技術が欠かせません。
このように、少し冷静になって周りを見渡せば状況は理解できると思いますが、何故か日本では、まだまだドライバーの戦い/育成を中心とした
展開を続けていこうとしています。
しかし日本にも、F1ドライバーを夢見る少年がたくさん居るように、技術者を夢見る若者もたくさん居ますし、このような環境下においても、
大好きなレーシングカーやレーシング・エンジンの開発に没頭してきた企業もたくさん存在します。
なかなか表だって活躍するチャンスが巡ってきませんでしたが、長きに亘り、日本の技術力工業力をベースに技を磨き力を蓄えてきた日本の
自動車レース産業の実力は、規模においては比べ物になりませんが、技術力においては、自動車レース大国である英国にも勝るとも劣らない
レベルにあると考えています。
現状をよく観察するに、日本の自動車レースは、どう考えても、マイナーとかメジャーとかいう以前に、基本的にやっていることが「違う」と
いう違和感が強くなるばかりですが、このまま何も変えなければ、当然、いつまでもこのままです。かねがね、この不毛な状況を憂慮してきた、
私たち、自動車レースを開発技術の戦いであると理解する、「日本コンストラクター・ユニオン」と「日本レーシングエンジン・ユニオン」は、
このたび一致協力し、この二つのユニオンに参画する約60社を母体として、その他、志を同じくする自動車レース関連企業を加えて、
「日本自動車レース工業会(JMIA)」を設立する運びとなりました。
日本自動車レース工業会は、「自動車レースは自動車開発技術の戦いである」ことを理念とし、日本の自動車レースに技術の戦いを取り戻すことに
努め、レース界に生産性と工業力による経済効果を喚起し、それにより、日本の自動車レースを発展振興させることを目的とします。最終的には、
現在、約1200億円とも言われている海外に流出しているレース関連の購買を国内需要に振り向けるだけでなく、輸出を拡大して、貿易収支を
改善するところまでを目標としています。
日本のレース界が本当の自動車レースに目覚めれば、日本の自動車レースは根本から変わっていきます。もともと、このような科学的技術的な
ゲームは日本人が最も得意とする分野ですから、日本人の英知と工業力は、瞬く間に世界のレース界を席巻するレベルに到達するでしょう。
そうして豊かになったレース界になくてはならない存在がドライバーであり、ドライバーはそうして育つのが正しいのです。
レース界の皆様が何かを発注するときに、ちょっとこのパンフレットの存在を思い出し、該当する企業かJMIAの事務局にお問い合わせいただく
ことから、日本の自動車レースの改革が始まります。
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日本自動車レース工業会 会長 林みのる
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